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バックパッカーに憧れて

BPスタイルのアジア旅行記と格安航空券や旅の情報

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プミポン国王崩御|シャツの色を気にするタイ旅行の歴史

タイ

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2016年10月13日の夜、テレビのチャンネルをNHKに合わせると、ちょうど19時のニュースが始まる頃だった。ネットで見たタイのプミポン国王(ラーマ9世)崩御の記事の詳細が知りたく、普段あまりつけることの無いテレビの電源を入れた。するとその日のトップニュースは国内のニュースを差し押さえ、プミポン国王が亡くなられたニュースからだった。中継は入院していたシリラート病院の前で、国王の崩御を聞きつけた国民が手を合わせ、涙ながらに歌を唱っている光景だった。

 

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日本人はタイの王室に、日本の皇室を重ねるところがあるが、昭和天皇が亡くなられたとき、そんな光景はなかったと幼き頃の記憶を遡った。それから数日、ネットのニュースやSNSに映し出される写真や映像には、全身黒い服に身をまとい、喪に服している国民の姿があった。その光景を見たとき、やはり昭和天皇が亡くなられたときの記憶を遡ると、これだけの人が黒い服を着て喪に服したわけではなかったように思う。タイ人のプミポン国王への敬愛は格別だと認識はしていたものの、それをこの目で確かめたのは、皮肉にも国王が亡くなられてからだった。

街の色

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あれから3週間後、僕はバンコクにいた。飛行機のチケットは8月に購入していたから、当然プミポン国王が亡くなられることなど毛頭なかった。羽田からクアラルンプールでバンコク行きに乗り継ぐと、ドンムアン空港に降り立った。イミグレーションを抜けて入国を済ますと、大きなビジョンに映し出されたプミポン国王を偲ぶ映像に目を奪われた。やっぱり国王は亡くなられたんだと。

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空港からはバスに乗り、モーチット駅からBTSに乗った。SNSで見た衝撃的な写真のひとつに、混み合う列車内のすべての人が全身黒い服に包まれている写真だった。しかし、その光景も少し落ち着いたのかもしれない。確かに黒い服に包まれた人を見かけはするが、そこまで多くは感じなかった。

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僕はバンコクに着くとコンビニに走ることが多い。日本よりちょっとだけ安い煙草を購入したり、ペットボトルの濃厚なオレンジジュースを一気に飲みたいからだ。そのコンビニに入ると、いつもと変わらぬ光景が待ち受けていたが、レジ前のファーストフードのメニューだけが、なぜか白黒のメニューになっているのだ。これもタイでは喪に服している表しだと理解はできるが、どうしてファーストフードのメニューだけなのかは分からなかった。

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◇街は白黒。ATMの液晶画面や空港のモニター、グーグルの検索画面まで

この色着なきゃ

バンコクの街を歩けばやたらと目に入る白黒の画面や看板。そして黒いTシャツを売る屋台を見かけた。ネットで見たTシャツ屋は、人々が多数押し寄せ、価格が高騰した記事だった。しかし目の前の光景はそんな様子は少しもなく、やっぱり落ち着いたのかと納得をした。その後政府は低所得者に黒いTシャツを無料で配布する記事を目にした。

そんな騒ぎのなか、明るい色のシャツを着ていたため黒いシャツの人から暴行を受けた記事も目にした。これは大変なことが起きたと思ったが、その後追い記事でこれからタイへ渡航する人は、黒いシャツを着ていくようにと注意を促す記事も目についた。だからという理由ではなかったが、僕は今回黒い長ズボンに濃紺のポロシャツでバンコクの街を歩いた。僕なりの喪の服し方だった。それは自然にこみ上げてきた「着なきゃ」という感情。僕もやっぱりどこかでタイの王室を日本の皇室に重ねていた表れなのかもしれなかった。

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その色着ちゃダメ

その「着なきゃ」という感情の反対に「着ちゃダメだ」ということがあった事を思い出した。それは今から3年前の2013年秋、僕がタイへの渡航を決めたときだった。タイへは友人と一緒に行くことになっていたから、渡航前は当然旅の話しになる。そのなかで何度も出てきた友人の言葉が、「赤いシャツと黄色いシャツは着ない方がいいみたいよ」の台詞だった。

記憶が正しければ今から10年前、2006年頃からタイでは政府を支持するタクシン派と、反政府派が衝突をし、軍事クーデターやデモが繰り返されていた。そのデモは年々過激になり、記憶に新しいのは2008年、スワンナプーム空港を9日間の占拠、2010年にはバンコク都内で、治安部隊との衝突により、日本人カメラマンを含む25人が死亡、800人以上が負傷。この武力弾圧事件は「暗黒の土曜日」として語り継がれている。そして2013年のタイ反政府デモという流れになっていった。そのデモで着ていたシャツの色が、タクシン派なら赤シャツで、反政府派なら黄色シャツという具合を心配して「着ないほうがいい」と話したのが友人の言葉だった。

しかし、その友人は会社帰りの前夜から早朝まで酒を飲み明かした挙句、フライトの時間を間違え、飛行場に現れることはなかった。結局友人は僕より半日遅れでバンコクに到着したが、その格好は赤でも黄色でもなく、白いYシャツに黒いスラックス、足元を見れば黒い革靴と、会社帰りの格好はまるで喪に服したような出で立ちで、今思えばあの格好は3年早かった。

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国王と色

それらの軍事クーデターや政府派と反政府派の衝突に時折介入しては、沈静化に貢献を果たしたプミポン国王。その国王のことを振り返ってみても、やはりタイとシャツの色は切っても切れない関係になってくる。

2006年に執り行われた即位60周年を祝う祝賀行事には、日本の天皇・皇后を含め、世界24カ国の国々の王族が参列して、プミポン国王の即位60年を祝ったが、そこで街を埋め尽くした一般市民が着ていたシャツが国王の誕生した火曜日の色である黄色だった。そのニュースで知ったのが、タイには生まれた曜日色があることだった。

タイの曜日色
日曜日:赤色、月曜日:黄色、火曜日:桃色、水曜日:緑色、木曜日:オレンジ色、金曜日:青色、土曜日:紫色

さらに2007年、脳血流傷害で入院していたプミポン国王が退院した際、ピンク色のジャケットを着ていたことを受け、その後タイでは国王の健康と長寿を願う意味を込めて、ピンク色のシャツが流行した。だからという理由ではないが、タイのイメージカラーといえば、どこかピンクを想像してしまうところがある。あれっ?プラトゥーナムにある「ピンクのカオマンガイ」はそこからか……と思いきや、創業は1960年だから、これは全然関係がないみたいだ。

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シャツの色とタイ王国

軍事クーデターや事件で着ていたシャツの色。そこを介入するプミポン国王にまつわる服の色。そしてその国王が亡くなられて喪に服す国民の色。これほどまでに色にまつわる出来事が豊富な国が他にあるのだろうか。その色に右往左往する日本人の旅行者。きっとそれがタイという国なんだろう。

僕が日本に帰国すると、1人の友人が連絡をしてきた。これから姪っ子が初めてのタイ旅行に出かけるため、現地の情報を教えてという内容だったが、そのなかで出てきた会話は、やっぱり服の色だった。

「王様が亡くなったから、白と黒の夏服持っていかなきゃ」

姪っ子は二十歳の学生だったが、若者もタイの皇室に日本の皇室を重ねている部分があるのだろうか。それとも危険を知らせる騒動の記事をネットで目にしたのだろうか。その一方で、もう1人タイへ出かける友人がいた。その人は3年前、まるで喪に服したような格好で現れた友人だった。タイへ渡航するのはその時以来だそうで、今回は遅刻をせずに飛行機に乗れたのだろうか。そしてどんな服装でタイの地を踏んだのだろうか。もしかしたら国王が亡くなったことすら知らないかもしれない。今度会ったときに聞いてみるつもりだ。

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バンコクの街を歩いていると、プミポン国王の体調が心配された2年前、タイに住む日本人の友人が話していたことを思い出した。

「王様が亡くなったら大変なことになるかも」

しかし訪れたタイの情勢は落ち着いていた。一部で噂された後継をめぐる騒乱も起きなかった。それは今年(2016年)の8月に行われた国民投票で、民主主義を一部否定する結果が平静を保った街の様子に表れていたのかもしれない。国政の混乱はもう懲り懲り。タイ人の心の叫びが聞こえてくるようだった。しばらくはシャツの色を気にすることなく、タイの風を感じられそうかも……と。

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