熱海で観光をしないゆるりとした滞在のおすすめ

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10月下旬、僕は熱海にいた。熱海を訪れたのは10年、いや15年振りかもしれない。記憶が正しければ、友人たちとランチの海鮮料理を堪能し、熱海城や秘宝館を巡ったあとに、日帰り入浴を楽しんだと思う。そしてその時見た熱海の印象は賑わいを失い、錆びれた温泉街のイメージだった。海側から山を見上げれば廃墟のホテルがたくさん目立ち、温泉街というよりも、お化け屋敷のような印象をもって東京へ帰ったような気がする。それが、10年一昔、いや、15年の月日が経つと、街はこんなにも変わるのかと思った。それは旅のはじまり、JR熱海駅で突きつけられた。

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近代的な駅ビルの熱海駅

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電車を降り、駅の外へ出ると、あれっ?間違えたかなと一瞬戸惑ってしまった。それは熱海駅の駅舎だった。僕の記憶にある熱海駅といえば、大正14年に開業以来、90年余りの歴史を刻んだ駅舎しかなかった。それがどういうわけか、都心でも見慣れた駅ビルに生まれ変わっていたのだ。駅舎の建て替えは老朽化の問題があるから、いずれにせよ時間の問題なのは理解できるが、勝手に田舎の温泉街を心の片隅に残したまま訪れると、不意を突かれた思いになった。

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◇駅前には足湯のコーナー。これはいいと思います。待ち合わせは足湯で!

人で溢れかえる仲見世

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駅前とそこかえら南西へ伸びる仲見世は多くの人で賑わっていた。十数年前の当時、駅前はもっと閑散としていたと思う。仲見世のおばちゃんとゆっくり会話を楽しみながら熱海の空気を感じようと思っていたが、そんな暇さえないほど業務に勤しんでいた。

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◇ここも生まれ変わったのだろうか?もっと古びた商店街だったような……記憶違いか?

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◇温泉といえば饅頭。これを頬張りながら街を歩くのが温泉街です

賑わいが消える海

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賑わいを見せる駅前を過ぎ、相模湾へ来ると、想像通りというか静かな熱海がそこにあった。あの人々はどこへ行ってしまったのだろうか? 僕は宿泊したゲストハウスのスタッフに聞いてみると、駅前は賑わいを見せるけど、海の方までは流れてこないと話していた。これが夏だと少し事情が違うのかもしれないが、駅前の仲見世と駅ビルで食事を楽しみ、近場のホテルで日帰り入浴。これからの熱海の日帰り旅行の楽しみ方なのかもしれない。

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熱海の海といえば、並行して走る国道135号線沿いに並ぶヤシの木を思い出す。その姿は数十年前と変わらなかったが、その回りが綺麗な公園として整備されていて、駅舎同様に昔のイメージで訪れた身にとってはビックリした出来事だった。

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◇親水公園。緑が映えて、綺麗なんです

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◇お宮の松は相変わらずでした

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◇この銅像も変わらず、安心しました

熱海街歩き

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◇国道135号線から丸見えの喫茶店「サンバード」。向こうからは海が丸見えです

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◇海と坂がある街が好きだった

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◇古い商店は応援したくなります

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◇役目を終えた美容室

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◇干物はこういうところで買った方が安いです

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◇京都の宮大工によって建てられた老舗の和菓子屋「ときわぎ銘菓」

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◇銀座町界隈は昔の遊郭。ムフフな劇場は今もあります

 

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源泉の蒸気で温泉卵

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熱海の街を歩くと湯気が湧き出している場所を見かける。これは「熱海七湯」と呼ばれる源泉だ。その源泉の蒸気で温泉卵を作ることができる。そんな熱海七湯のひとつ「小沢の湯」で、温泉卵作りに挑戦した。

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コンビニで購入した卵をザルに入れ、蒸気が湧き出る岩の穴に入れ木製の蓋をすることただ待つ。僕の前に温泉卵を作った人に待ち時間を聞くと、今日は13分くらいがちょうどいいかもしれないと話す。

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◇湯温は90度。8分から13分と表示されているが、その日の蒸気の具合によって待ち時間は変わります

 

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◇13分後にザルを取り、殻が剥きやすくするため水で冷やします

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出来上がった卵を口にしてみると、塩っけのような香りがする。これが熱海の温泉卵なのかと納得するしっかりとした味わい。塩もマヨネーズもいらない、自然の味がついた卵は大変美味しくいただけた。

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◇温泉卵のお供は缶ビール。こりゃたまらん!  撮影協力:サイトー君(左)とジュンペー君(右)

 


◇小沢の湯の場所

ゲストハウスでちょっと旅気分

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熱海では1泊した滞在だった。宿泊先は旅館でもホテルでもなく、約1年前にオープンしたゲストハウスだった。東京から近すぎず遠すぎずの場所に位置する熱海のゲストハウスのドミトリーでちょっと旅気分。それが良かった。第二のふるさと、別荘に帰った気分で熱海のゲストハウスに宿泊をする。今後も利用したいと思った時間を過ごせた。

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熱海といえば温泉

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そんなゲストハウスに泊まれば、温泉は必然的に日帰り入浴で済ますことになる。十数年前と比べて激減した街の公衆浴場だが、今なお存在しており、今回はちょっとマニアックな公衆浴場を体験することができた。また、日帰り入浴の共同浴場や、ホテルの昼食付きのお得な温泉プランも体験することができた。

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最後に筆者から

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熱海城も秘宝館も行かない。特に観光をしないゆったりとした熱海滞在もいいんじゃないだろうか。そう思わせる1泊2日の熱海滞在となった。温泉に入って、ゲストハウスの共有ラウンジでビールを飲み、パソコンを広げる。夜は人情味溢れる大衆酒場で過ごし、深夜はゲストハウスに併設されたバーで、宿泊客と飲み語り合う。そんな時間はゲストハウスの醍醐味のひとつだった。

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夜が明け、街を歩けば昭和の香りが色濃く残る景色に癒やされる。熱海の癒やしは何も温泉だけではなかった。街の人々や観光客との距離感の近さも良く、東京の街では決して味わうことのできない過ごし方だった。東京・品川からJRアクティーで1時間半。旅と呼ぶには大げさかもしれないが、ちょっと旅気分の癒やしを得られる熱海の街。僕は今後も不定期ながら通い続けることを心に決めて、熱海の街をあとにした。

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