タイの首都、バンコクで17日に爆発テロの事件が発生しました。僕はアジアの旅のなかでもタイ、特にバンコクは一番訪れている場所であり、とても気がかりなニュースです。
2014年5月から続く軍事政権で治安維持に努めている最中、不意打ちをつかれたテロ事件。タイ軍事政権は新憲法を国民投票にかけ、民政復帰に向けた総選挙を来年2016年8月に予定しています。そこにきての今回のテロ。少なからず影響があるかもしれません。
場所:タイ・バンコク 「エラワンの祠」(タオ マハープロム)付近
地元警察によると死者20人以上。125人以上が負傷している模様。死者にはタイ人10人、中国人1人、フィリピン人1人、他の犠牲者の国籍は明らかになっていないとのこと。そして日本人駐在員の男性(31)が事件に巻き込まれ重体とのこと。
(8月18日18:00現在)
警察当局はAFPに対し事件は政治的な動機に基づいており、「混乱」を巻き起こすことを目的としている可能性が高いと語った。しかし犯行声明は出されておらず、犯人の身元を示す情報は今のところない。
またプラウィット・ウォンスワン国防相は、使用されたのはTNT(トリニトロトルエン)爆弾だったと明らかにするとともに、犯人は観光業に打撃を与える狙いで外国人を標的にしていたとの見解を示した。
そしてアメリカ国家安全保障会議のプライス報道官も「嘆かわしい暴力行為を非難する」との声明とともに捜査を支援することを発表した。
バンコクにあるブラフマー(梵天)をまつるヒンドゥー教の祠。バンコク屈指のパワースポットと言われている。付近にはセントラルワールドや伊勢丹などバンコク有数の人気を誇るショッピングモールがあり、多くの参拝客や外国人観光客で賑わっている。
◇「エラワンの祠」前の交差点(2013年9月撮影)
上記写真の無数のバイクの向うが「エラワンの祠」まさに今回のテロ現場。僕は一昨年9月にこの現場に行ったが、多くの参拝者や観光客がいたのは記憶に新しい。
丨タイ国内のテロといえば?
近年タイ国内でのテロといえば大半は南部で発生しています。特に2004年以降イスラム武装勢力による蜂起が10年近く続いており、報道等によれば、2004年から11年間で6300名近くが死亡したとされているんですね。
一方バンコクといえば2010年にはデモ隊の暴徒による放火とみられる「セントラルワールドの全焼」や、記憶に新しい2014年2月。今回の場所から目と鼻の先にある大型スーパー「ビッグC」前で起きた爆発事件。この時は反政府デモ会場となっており、タイ人女性とタイ人少年が犠牲になりました。
最近の観光客を狙った海外テロといえば、チェニジアの国立博物館での銃撃テロなど観光名所や箱物といった印象。バンコクでのテロといえばやはり南部の印象で、国内暴挙となると今回の現場「エラワンの祠」をはじめ、この近辺といった印象。
・18日、銀行などの金融機関が休館
・18日の外国為替市場でタイバーツが下落。一時0.5%安の1ドル=35.55バーツと2009年4月以来、対ドルで約6年ぶりの安値をつけた
タイバーツの下落に関しては、タイの観光業が打撃を受けるとの懸念が強まったとの見方です。タイでは近年政治の混乱から国内の暴挙が続いてきました。それでも海外からの観光客増加はタイの観光政策の底力とあくまでも国内問題という大きな二つの事案だと思います。
しかし今回は国内の反政府グループなどの暴挙ではない模様です。イスラム系の外国人の犯行。または、ウイグル過激派の犯行など憶測が飛び交っています。少なからず観光業への影響はありそうですが、今後の動向を静かに見守りたいと思います。
丨バンコク在住の友人に聞きました
このブログでも何度か登場してくれた僕の友人S君。彼はバンコク在住の日本人。そのS君に今回のテロについて安否確認を含めて連絡をとりました。すると、事件当日、その時間の話しを聞けました。
「セントラルワールドの映画館に映画を見に行こうと思っていたけど辞めたんだよ。辞めてよかった」
と語っていました。映画を見に行くのを辞めた理由はよく分かりませんが、本当によかったです。S君はバンコク中心部なら自転車で移動をするので、もし映画を見に行っていたら現場の近くに自転車をとめたことでしょう。考えただけでもゾッとします。
友人S君を通してタイ人にも今回のテロについて話しを聞いてもらいました。
「どうしようもない。注意のしようもない。しかし、海外の人が巻き込まれたのはひどいことだ」
と語ってくれました。
テロは当たり前ですが事前の予告が基本的にありません。犯行声明が出るとしたら後からです。タイ人の発言通り、注意のしようがないんですよね。
それにしてもS君を通して聞いてくれたタイ人は、海外の人を想う気持ちを語ってくれました。しかし、今回のテロではタイ人も犠牲になっています。
未だ詳細は判明しておりませんが、今回のテロで犠牲になった方には心よりご冥福をお祈り申し上げます。そして怪我をされた方にはその重度に関わらず、心痛な気持ちでいっぱいです。
8月18日(火)午後1時30分ごろBTSサパーンタクシン駅に近いタクシン橋からチャオプラヤー川に爆弾が投げ込まれました。前日17日(月)にエラワンで起きた爆発事件に続く2日連続の爆発事件です。今回は死傷者が出ていない模様です。
犯人はタクシン橋からサトーン船着場を狙って爆弾を投げようとしたが、橋の一部にぶつけてしまい川へ落下。その後爆発した模様です。なお、犯人はその後オートバイで逃走したとのこと。
警察当局によると、17日に起きた爆発事件と似た種類の爆弾が使われたということで、同じ組織による犯行とみられています。
◇サパーンタクシン駅の位置関係
追加記事:サトーン船着場で爆発事件
◇サトーン船着場(2015年3月撮影)
サトーン船着場は僕も今年の3月に行きましたが、王宮・ワットプラケオをはじめとする寺院やカオサン通りへ向かう足として多くの観光客がいる場所です。もちろん地元タイ人の生活のための足としても賑わっています。
バンコクで都心で起きた連日の爆弾事件。ここまでで色々な情報が飛び交っていますね。
・17日と18日では爆弾の種類と手段が違うので便乗犯?
・17日の爆弾と種類は一緒
・17日の爆弾事件は赤シャツ、タクシン派の仕業
・17日の爆発現場付近の防犯カメラに映った黄色いTシャツにリュックサックを背負った不審な男を警察幹部はAP通信の取材に対し「容疑者ではなく爆発犯だ」と述べている
どうも色々な情報を見ていると、この黄色いTシャツを着た人が爆発犯として有力みたいですね。映像も公開されて警察が行方を追っています。
◇容疑者と見られる黄色のTシャツを着た男
さらに、インターネットの底力というか、探す人は探すもので、このTシャツを販売しているインドネシアのファッションストアが判明しました。(このストアだけの販売かは不明) Tshirt Gucci Bag :: Amaranthine Fashion
2015年8月18日、タイ政府観光庁は緊急対策室を設置して、観光客への情報発信や来庁者へ24時間態勢で多応する事を発表しました。
「ウォールーム(War Room)」と名付けられた対策室は、危険情報の発信や現在入院している外国人への通訳ボランティアの手配、直接来庁する観光客などに対応するそうです。
観光庁が発表した内容は以下の通り。
1.現在負傷者の治療にあたっている各病院にサポートカウンターを設置して、家族や関係者などのサポートに対応する。また情報提供ホットラインとして「1155」ダイアルを24時間態勢で稼働。
2.死亡者に対して30万バーツ。また負傷者に対しては10万バーツの保険を適応する。ただし旅行代理店のツアーに参加している場合は代理店の規定が優先される。
3.観光警察などは、主だった観光スポット及び空港、バスターミナルなどにおいて警戒を強化する。
4.緊急を要する在外大使館などへの連絡取次ぎをサポートする。
5.ウォールーム(緊急対策室)を本庁3階に設置し、観光客へのサポート業務にあたる。
なお、2015年8月28日〜30日にセントラルワールドスクエアで開催予定だった「ジャパンエキスポ タイランド 2015」は開催延期になりました。AKB48をはじめ、日本から多くのアーティストが出演予定だったそうです。