タイの首都バンコクから南へ約200km離れたサメット島にいる。サメット島はタイ人に人気のリゾート地。バンコクの喧騒から逃れ、週末は島の風を浴びるのがステータスになっている側面もある。
僕がサメット島を訪れるのは三度目だ。初めて感じた島の風に魅了され、すっかり気に入ってしまった。
島には僕以外のタイ人が3人、計4人での旅になった。旅の経緯は前稿を読んでもらうとして、1人でも4人でも島での一日の過ごし方は何ら変わらなかった。変わるのは食事とアルコール。一人で食べるか、皆で食べるかの違いだ。豊富な料理をシェアでき、皆で食べる食事は楽しいと感じる。ただ単に腹を満たす作業ではないからだ。一人の旅を忘れ、ゆるりとした時間が食卓に流れた。
食事はビーチ沿いのレストラン。大きなテーブルに寝転べるソファが並ぶ。もしも一人旅だったら少々腰が引けてしまう空間だ。料理は島だけあってシーフードが豊富だが、チキンやポークの肉類から、トムヤムクンスープなど辛いタイ料理も豊富だ。
レストランでは夜の8時と10時にファイヤーショーが開催される。ビーチ沿いのレストランでは名物だった。鍛え上げられた上半身裸の男性達がステージに立ち、ロープに括り付けた二つの火の玉をグルグルと回す。時には炎を体にくっつける演出でビーチを賑わしていた。その様子にレストランで食事をしない多くのギャラリーもビーチに集まり、スマホのカメラをステージに向けては拍手喝采。最後は人間花火を披露してショーは終了した。ギャラリー達の心を掴んだ男性達が、チップをせがみに各テーブルを周るのが恒例だった。
◇ファイヤーショーのラストは人間花火。圧巻です
食後は決まってオープンバーへ移動した。タイ特有のバケツに入ったカクテルを皆でシェアする。料金は400バーツ(約1,200円)。4人いれば1人100バーツの計算になる。これは安い。だがそれがいけなかった。バケツはまるで火災時のバケツリレーのごとく、次から次へと運ばれる。そこへ酒の苦手なタイ人女性に飲めよ飲めよと女性の彼氏が迫る。本当に彼氏か? 一瞬目を疑ったが、彼女は酔いつぶれ、路上で吐き続けた。当然である。
ぐでんぐでんの口調で言った台詞は、酔った人が言う台詞の特徴。これはタイも日本も同じだった。
◇ウオッカベースのカクテル、ロングアイランドアイスティーをバケツで飲めば一発で効きます
心のなかでそっと呟きながら、寝床にしている宿へ帰った。
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