マラッカのセントポールの丘で沈む夕日 〜深夜特急のあしあと〜

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2014.11.23(3日目)
マラッカセントラルからのバスを降りると、マラッカ観光のスタート地点、オランダ広場でしばらくボッーとしていた。レンガ色の建物と、目の前の噴水の音がとても居心地がよかった。

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オランダ広場

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オランダ広場の中心に位置する一際目立つ建物は、1753年に完成したプロテスタント教会だ。その造りは木造建築で、釘を一本も使っていないらしい。ここはネットでよく見たシャッターポイント。見てみたかった景色のひとつ。純白の十字架が煉瓦色の壁によく映えている。

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僕のなかでマラッカといえば、オランダというよりポルトガル支配のイメージだった。しかしネットで調べてみると、1642年、オランダが香辛料を求めてアジアに進出し、ポルトガルからマラッカを奪略したそうだ。

マラッカに立ち寄ってみるつもりになったのは、なにもポルトガル人の築いた砦やフランシスコ・ザビエルの像がみたかったからではない。
沢木耕太郎著 〜深夜特急2より〜

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深夜特急2?半島・シンガポール? (新潮文庫)

サンチャゴ砦

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深夜特急の作品にも出てくるポルトガル人が築いたサンチャゴ砦は、1511年に建てられたマラッカのシンボル。ここもマラッカへ訪れたら見てみたい景色のひとつだった。そして同じく深夜特急の作品に出てくるフランシスコ・ザビエル像は、セントポールの丘を上がった場所にあった。

フランシスコ・ザビエル像

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ポルトガルのマラッカ獲得は、貿易の中継地としての利点とキリスト教の布教だったそうだ。だからフランシスコ・ザビエルも布教のためにマラッカを訪れたんだと、像を目の前に納得をした。そのザビエル像をよく見ると、右手がないことに気づいた。どうやら像が建てられたとき、嵐によって右手が切り落とされてしまったようである。

しかし像と現実がリンクする事実を知って、ゾッとした。それはザビエルの死後、遺体はマドラスへ送られたが、右手だけ切り取られポルトガル本国へ送られたそうだ。理由はよくわからないが、奇しくも遺体と像が同じかたちになるなんて、物語のような事実を知り、言葉がでなかった。

セントポール教会跡

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セントポールの丘の頂上にある、セントポール教会跡。これもポルトガル時代に建てられた教会跡で、外壁と内部に当時のポルトガル人の墓石が残されていた。

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◇ポルトガル人の墓石でしょうか

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◇教会跡の内部には多くの人が集まっています

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◇教会跡内でミュージシャンの演奏。音が響きます

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マラッカの夕日

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僕も沢木氏同様、サンチャゴ砦や、フランシスコ・ザビエル像だけを見に、マラッカへ来たわけではない。マラッカ海峡に沈む、大きくて赤くて限りなく美しい夕陽を見に来たのだ。

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教会跡の外周の柵に寄りかかり、しばらく太陽を見つめる。静かな時間が、セントポールの丘に流れた。すると、太陽はマラッカ海峡をオレンジ色に照らし始めた。なんて美しい景色なんだ。マラッカに来て良かった。ここから大きくまん丸な太陽が沈む。そう想像していると、いきなり雲行きが怪しくなってきたじゃないか。

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目の前の景色を疑った。美しいオレンジ色の景色は姿を消し、黒い不気味な景色に変わっていくではないか。ちょっと待ってくれ。僕はマラッカの夕日がどうしても見たいのだ。

突然のスコール

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すると、無情にも空からは大粒の雨が落ちてきた。スコールというやつだ。多くの人で賑わっていたセントポールの丘は、僕とザビエルだけを残し、静かな光景になっていた。 このタイミングで豪雨とは信じられない。溜息さえでる。さらに丘の頂上のせいか、風が吹き付けて物凄く寒い。Tシャツに短パンの服装には堪える。僕は寒さで震える手に一服をして考えた。

「海まで走るか!?」

残念なことに、空は雲に覆われ、太陽は顔を隠してしまっている。
沢木耕太郎著 〜深夜特急2より〜

深夜特急のなかで、沢木氏も僕と同じような境遇にあっていた。しかし沢木氏は、海岸の堤防まで走り、水平線と遥か向こうの地平線をかたちづくっている岬との間に沈む巨大な夕陽を見ていた。しかし海まで近いように見えて、実際に歩いたら遠いはずだ。沢木氏はセントポールの丘から海まで本当に徒歩で行ったのだろうか。少し疑ってしまう。

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空が雲に覆われたところまでは沢木氏と同じシチュエーション。それもまた嬉しいことだが、まさか豪雨とは思いもよらなかった。太陽が沈む景色は見られなかったが、マラッカ海峡をオレンジ色に染めた景色を見れただけでも良しとして、降りしきる雨のなか、セントポールの丘をあとにした。

感想
「あぁ、無情。マラッカ海峡に沈む夕陽は美しいはず」

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