ミャンマーを想う

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ミャンマーでクーデターが発生してから二ヶ月半あまりが過ぎた。同国国軍が企図したクーデターだ。
 
背景は昨年(2020年)11月に行われた総選挙。与党のNLD(国民民主連盟)が改選議席のうち8割を占める結果になった。
 
ミャンマーでは議会の四分の一の議席が割り当てられている。選挙で圧勝したNLDに対し、選挙の不正を主張する国軍は、国民の支持を欠いてクーデターへ転ずる……というのが、ざっとした流れである。
 
あれから二ヶ月あまり、テレビやネットから流れる残虐な映像を目にしては、そっと目頭を抑える日々が続いている。
 
すると脳裏に浮かぶのは、ミャンマーを旅した時の光景だった。
 
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旅を重ねていると、機内から見た景色が忘れられないことがある。
 
今から5年前、ミャンマー第二の都市マンダレーへ初めて訪れた時だ。着陸直前に機内から見えた豊かな緑と水流、そして存在感のある無数のパゴダを眼下に見た。まだその地を踏んでいないのにも関わらず、来て良かったと胸が躍ったものだった。
 
本当に美しいものは、自然なものかもしれないと。とにかくその景色がまぶしく、ミャンマーを好きになった一歩だった。
 
旅はその後バガン遺跡で有名なニャウンウー、ミャンマー最大都市のヤンゴンを巡った。
 
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バガンでは日本語が流暢な地元スタッフがいるホテルに泊まった。予約をしていた宿の前に着くと
 
「待ってたよー」
 
と、明るく日本語で出迎えてくれたことは今でも印象的だ。
 
そんなミャンマー人スタッフとは、数日間の滞在中に何度も会話をした。時には宿の近くにあるレストランで互いに酒も飲んだ。日本語が流暢だから自然と会話も弾んだ。
 
その内容はスタッフの家族の話しが主だった。息子は成人していて、マンダレーで暮らしており、歳の離れた小学生の娘は日々塾通い。科目は母国語のミャンマー語、英語、算数と、まるで日本のお受験並みで、すでに大人になったとはいえ、呑気に旅をしている自分が情けなくも思った。
 
酒は進み、ミャンマーの民主化についても話をした。
 
ミャンマーは2011年、約50年間続いた軍政に終わりを告げ、民生移管を果たした。そして2015年11月、総選挙が行われNLDが圧勝し、2016年に文民大統領が誕生して半世紀余りに及んだ軍による統辞が終結した。
ミャンマーは今新しく生まれ変わるーー。
そう思って渡航したが、スタッフはこう言った。
「政府には悪い人がまだいっぱいいる。その人たちがすべていなくならないと良くならないよ」
ここで言う悪い人とは軍のこと。総選挙でNLDが圧勝してから5年半、事実上の民生移管を果たしたミャンマーだったが、軍の人間はまだ政府に残っていた。振り返ってみれば、ミャンマーはまだまだ民主化に向けた一歩を踏み出した矢先だった。
そんな状況をバガンのホテルのスタッフは冷静に見ていた。いや、真の民主化を望んでいた国民は分かっていたのだ。
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物事を積み重ねていく工程には時間がかかる。それは例えひとつの組織でも変わらない。日々の生活で痛感しているつもりだ。それが同じ国民、国単位となると想像を絶する。僕が日々の生活で感じていることを、旅先の他国の状況に当てはめるには、経験があまりにも未熟だった。
いまミャンマーでは、軍によるクーデターから国民が必死の抗議をしている。それを武力で抑え込む軍。名目は治安の維持。武力で封じ込む、治安部隊による治安維持活動。
そんなことを誰が受け入れられるだろうか。
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ミャンマーの豊かな緑と水流。そして魅力溢れる観光資源。
またゆるりとしたミャンマーの風を感じる旅がしたい気持ちは嘘ではないが、悲惨な現状が解決することが先な気持ちは嘘ではない。
ミャンマー国民の人権を守ろうーー。
声を上げれば、ロヒンギャ問題の時は……と矛盾が生じる。
結局言葉にしたい時だけ発する言葉には重みがない。
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ミャンマーをはじめ、タイ、ベトナム、ラオス、カンボジア、台湾など、コロナの封じ込みに成功した部類の国は、国の仕組みがものを言う気がする。
コロナという有事のなか、ろくな保証もなく、国境を封じ込み、飲食店舗はテイクアウトのみ。公務員は二週間ごとの交代制。そして深夜外出禁止などの罰則付ロックダウンが功を制したのがミャンマーだ。
しかし国軍にはコロナという有事より、守りたいものがあったということなのか。
海外へ行かなくなって一年が過ぎた。世界を見渡してみると、情勢は微妙に変わっている。
この一年あまりにも無駄な月日を過ごした気がする。
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